第1部:患者が知りたい最先端医療ー免疫治療と再建医療

テーマ① がん免疫治療新時代

講演者:垣見和宏先生

    東京大学大学院 医学系研究科 免疫細胞治療学講座 特認教授

 

2013年、世界でも権威ある科学誌のひとつ、米サイエンス誌(Science)が発表した“10大科学業績”のうち、「がん免疫療法」が、年間の最重要研究成果(ブレイクスルー・オブ・ザ・イヤー)に選ばれた。

 

人間の体に備わる免疫機構を利用したがん免疫療法は、1980年代より国内外で研究が進められてきており、一時は治療効果に乏しいと言われた時期もあったが、近年、分子生物学や免疫学、細胞工学が著しく発展し、がん治療において免疫の力が欠かせないものであることが、医師や研究者の間で広く認知されつつある。

 

 免疫を利用した抗体医薬品が次々と開発・承認されており、また、免疫細胞を強化して体内に投与する「免疫細胞治療」も活発に研究が進められていることは、新たな治療を待つ患者さんにとって大きな希望といえる。

 がん免疫治療の第一人者である垣見先生に、研究レベルから臨床に応用まで、広くがん免疫治療の現状、未来についてお話しいただく。

テーマ② がん治療後の患者のQOL向上に貢献する スーパーマイクロサージャリー

講演者:光嶋勲先生

    東京大学 医学部形成学科・美容外科教授

 

 

 形成外科の分野で、顕微鏡を見ながら直径1.53.0mm前後の血管あるいは神経をつなぐ技術をマイクロサージャリーと呼ぶ。技術レベルは日本が世界のトップであり、新しい手術法を欧米に輸出し続けている。最近ではさらに、直径0.30.5mm前後の超微小の血管や神経をつなぐ技術が進み、スーパーマイクロサージャリー(超微小外科)にレベルアップしている。

 

 スーパーマイクロサージャリーの技術を使えば、末梢の血管にも血液が行きわたるので、比較的大きな皮膚や骨、筋肉、脂肪などを、体のある部位から別の部位に移植した際にも、組織の壊死(えし)を高確率で回避することができる。また、細い神経をつなぐことができるので、感覚の麻痺を防ぐことや、すでに麻痺した感覚を取り戻すことも可能。

 

 この技術は、広い分野で活用される技術だが、乳房再建術、頭頸部がんによる顔面の変型・損出の再建、舌がん手術後の舌の再建など、がん患者のQOLの向上にも大きく貢献するが、そのことを知る人(患者)は少ないので、広く情報提供する意義は大きい。

 

 最新の研究では、リンパ管の治療により、患者さんの免疫力が向上し、肉腫などは治癒しているという実績もある。

 

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これからの“がん医療”を考える患者の会