第2部:患者が本当に求める医療 患者に寄り添う医療の実践

テーマ③ 患者と共に生きる医療

講演者:高本眞一先生

    三井記念病院院長/東京大学医学部名誉教授

 

 東京大学医学部胸部外科の教授も勤められた高本先生は、心臓血管外科の第一人者として、治療や研究に取り組んでこられた。穏やかな語り口調とにこやかな笑顔からは、より良い医療をまっすぐに追求してきた医師としての自信と、命に対する謙虚な姿勢がうかがえる。

 

 2009年に三井記念病院院長に就任された際、高本院長が病院の基本理念として掲げたのは、「患者を中心とした、患者を含めたチーム医療を実践することで『患者と共に生きる医療』を通じて社会に貢献すること」だった。

 

 「医療の主役は患者であり、医療者の役目は、患者の良きガイド役として病気の治癒の原動力である“命の力“を引き出し、伸ばすことであると」考えている。

 これからの病院のあり方や最先端の心臓手術、それを支えるチーム医療について、お話を伺う。

テーマ④ 医療の隙間を埋める対話

講演者:樋野興夫先生

    順天堂大学医学部病理・腫瘍学講座教授/一般社団法人がん哲学外来理事長

 

 2008年に順天堂医院内に無料相談として「がん哲学外来」を開設したことがきっかけで、翌年、NPO法人「がん哲学外来」を設立、理事長に就任。20137月に一般社団法人となる。現在、樋野先生の考えに賛同した有志により全国に50カ所ちかくで「がん哲学外来」や「メディカル・カフェ」が定期開催され、「対話」を実践している。

 

 「がん哲学外来」は、患者や家族の声に耳を傾けながら、その思いや悩みを受け止める場所と時間を提供している社会活動である。医療機関では、患者・家族と医療者との間に、隙間があることを実感。その解決策として「面談」や「メディカル・カフェ」活動を展開している。

 

 「医療界のみならず社会全体に、暇げな風貌と偉大なおせっかいが必要だ」と提唱し、患者・家族を支えることのできる「お節介者」の育成も行っている。

 現在のがん医療が抱える問題を見据え、日本社会を病理の視点でとらえ、医療の将来像「がんで死なないまちづくり」「メディカルタウン構想」についてもお話を伺う。

テーマ⑤ 物語と対話の医療の実践

講演者:福田護先生

    聖マリアンナ医科大学付属研究所

    ブレスト&イメージング先端医療センター付属クリニック院長

 

 乳がん治療で高い評価を得ている聖マリアンナ医科大学病院では、乳がんの患者さんの急増で外来が混雑し、患者さんの診療環境に悪い影響を与えていた。この状況を改善し、同時に先端的な画像診断の導入を目的に、2009年に乳がんなどの乳腺疾患に特化したブレスト&イメージングセンターを開設、同時にその附属クリニックを開院した。

 

 がん拠点病院が開設する日本で初めての本格的な独立型のブレストセンターとして、World Class Care(世界最高水準のケア)をモットーに、高い知識と技能を兼ね備えたスタッフによるチーム医療を提供し、わが国の乳がん診療の中心施設になることを目指している。また、イメージングセンターは、乳がんに対する正確かつ先端的な診断を行うとともに、地域の画像センターとして発展したいと考えている。

 

 福田先生は、長年、研究者として臨床医として、多くの実績を積まれ多数の重職にも就かれている一方、NPO法人乳房健康研究会やNPO法人キャンサーリボンズを立ち上げ、乳がん検診の啓発活動や患者支援活動にも熱心である。2013年には、一般社団法人がん哲学外来の活動の一環である「新百合ヶ丘メディカル・カフェ」の顧問として、対話の実践にも参加。

 

 エビデンスに基づく医療と、ナラティブに基づく医療の両立を実践している医療者として、ブレスト&イメージングセンターおよび附属クリニックにおける医療現場の様子をお話いただく。

 

問い合わせ

これからの“がん医療”を考える患者の会